GPT-6.1 Terra徹底解説:料金・使い方・Claude Opus 5.5との違い

OpenAIのGPT-6.1 Terraの位置づけ、仕様、API料金(Solの半額)、ChatGPTとCodexでの提供範囲、ベンチマーク、移行時の注意点、そしてClaude Opus 5.5との使い分け。

10月26日、OpenAI が GPT-6.1 Terra をリリースしました。API 名は gpt-6.1-terra です。

10月初めに GPT-6.1 Sol の記事を書いた時点では、6.1 シリーズは Sol の1モデルだけでした。そこに Terra が加わり、しかも価格はちょうど Sol の半分です。

この記事では Terra について、どんな位置づけなのか、スペックと価格、どこで使えるのか、API の呼び出し方、ハマりどころを整理し、最後に Claude Opus 5.5 と比較して、どう使い分けるべきかをまとめます。

まず Terra が OpenAI のラインナップのどこにいるのか

OpenAI のモデルは現在、サイズ別に4つの階層に分かれています。安い順に並べると次のとおりです。

階層 現行モデル 位置づけ
Luna GPT-6 Luna 最も安価。抽出、分類、バッチ処理向け
Terra GPT-6.1 Terra 2番目に安価。高速で、画像理解、コンピューター操作、文章作成が得意
Sol GPT-6.1 Sol 日常使いの主力
Astra GPT-6 Astra 最も高性能で、最も高価

Terra は GPT-5.6 Terra の後継です。GPT-6.0 Terra は存在せず、5.6 から一気に 6.1 へ飛んでいます。

OpenAI 公式の一言紹介は、**「高速で効率的なモデル。視覚的推論、正確なコンピューター操作、明快で自然な文章作成に優れる」**というものです。システムカードでは「大量の専門業務向け」と説明されています。

公式ガイドに挙げられている典型的な用途は、かなり具体的です。

  • 商品写真と商品カタログを照合する
  • 2枚の技術図面の違いを比較する
  • アプリの画面上でボタンをクリックし、フォームに入力する
  • 与えられた資料をもとに原稿を書く、手直しする
  • 範囲がはっきりした小規模なコード修正

一方で OpenAI は、最も複雑なプログラミングタスクには引き続き GPT-6.1 Sol か GPT-6 Astra を推奨するともはっきり書いています。Terra は Sol を置き換えるためのモデルではなく、「量が多く、内容が明確で、結果を検証できる」仕事を速く安くこなすためのモデルです。

スペック

項目 GPT-6.1 Terra
コンテキスト 1,050,000 tokens(入力は最大 922K、出力は最大 128K)
入力 / 出力 テキストと画像を入力可能、出力はテキストのみ
知識のカットオフ 2026年6月1日
推論強度 none、low、medium(デフォルト)、high、xhigh、max
API Responses、Chat Completions、Batch
ツール 関数呼び出し、構造化出力、Web 検索、ファイル検索、コードインタープリター、コンピューター操作(computer use)、MCP など
非対応 ファインチューニング、Predicted Outputs、音声と動画

見落としがちなポイントがひとつあります。Terra は none、つまり推論を完全にオフにする設定に対応しています。これは GPT-6.1 Sol にも GPT-6 Astra にもありません。手早い書き換えや抽出だけで済むタスクなら、推論をオフにすることで、時間もコストもさらに削れます。

価格:ちょうど Sol の半分

100万 tokens あたり、米ドル:

モデル 入力 キャッシュヒット 出力
GPT-6 Luna 0.10 0.01 0.50
GPT-6.1 Terra 1.00 0.05 5.00
GPT-6.1 Sol 2.00 0.10 10.00
GPT-6 Astra 10.00 1.00 50.00
GPT-5.6 Terra(前世代) 2.00 0.20 12.00

課金ルールで注意すべき点をいくつか挙げておきます。

  • 長いコンテキストの割増:1回のリクエストで入力が 272K tokens を超えると、そのリクエスト全体の入力が2倍、出力が1.5倍で課金されます。Terra の場合は 2.00 / 0.10 / 7.50 になります。
  • サービスティア:Batch と Flex は半額、Fast(旧称 Priority)は2倍の価格です。Terra には Ultrafast ティアはありません。
  • キャッシュ書き込み:保持期間30分のキャッシュ書き込みは 1.25 ドル、12時間は 2.50 ドルです。
  • Web 検索は別途、1,000回あたり 10 ドルかかります。

前世代の GPT-5.6 Terra と比べると、入力は半額、出力は 12 ドルから 5 ドルに下がり、6割近く安くなっています。「50% 安くなった」と書いている記事が多いですが、それは入力についてしか言っていません。

どこで使えるか

API:モデル名は gpt-6.1-terra で、日付付きのスナップショット版はありません。

ChatGPT:ChatGPT Work と Codex にのみ登場し、通常のチャットでは使えません。Plus、Pro、Business、Enterprise、Edu のいずれでも利用でき、モデル一覧から手動で選びます。全体の利用上限は変わっていません。Enterprise と Edu のメンバーは、管理者がこのモデルと Work / Codex の両方を有効にしている必要があります。

Codex:Codex CLI 0.159.0 以上が必要です。

codex -m gpt-6.1-terra

セッション内で /model を使って切り替えることもできます。Codex デスクトップ版と Work の Web 版では、「詳細設定」内のモデル一覧から選びます。

その他のプラットフォーム:GitHub Copilot と Microsoft Foundry はどちらもリリース当日に対応しました。GitHub によれば、Terra は「GPT-5.6 Terra よりも明らかに多くのターミナル系および C# のプログラミングタスクを解決した」とのことです。また、Amazon Bedrock でも同時に提供が始まったというサードパーティの報道がありますが、公式ページでは確認できていません。

ベンチマークをどう読むか

OpenAI は発表の中で、次のように述べています。

  • 推論強度 medium で、コンピューター操作タスクのスコアが GPT-5.6 Terra より 15ポイント高く、コストは約3分の1
  • GPT-6 Astra と同等の水準に達しつつ、token あたりの価格は Astra の10分の1
  • タスクの平均完了速度は Astra や 6.1 Sol の 3倍以上

発表のグラフに載っている具体的な数値は、私の環境では公式ページを直接開いて確認できなかったため、以下はメディアが書き起こしたものを引用しています。参考程度に見てください。

ベンチマーク(推論強度) GPT-6.1 Terra GPT-5.6 Terra GPT-6.1 Sol GPT-6 Astra
Agents’ Last Exam(max) 60.0% 50.7% 58.6% 59.3%
Terminal-Bench 4.0(max) 50.3% 21.5% 55.9% 58.2%
OSWorld 2.1(max、オフラインサブセット) 74.2% 57.1% 約 75.9% 約 75.8%
MMMU-Pro 85.5% — — —

注目すべき点が2つあります。

  • Terminal-Bench 4.0 は推論強度に大きく左右される:Terra は low だと 24.8%、medium で 35.8%、max にしてようやく 50.3% です。Terra でプログラミングをさせるなら、推論強度を低くしすぎないようにしましょう。
  • 「15ポイント高い」という数字が合わない:グラフの数値では、Terra の medium が 57.6%、GPT-5.6 Terra の最高強度が 50.7% で、差は 6.9 ポイントしかありません。公式の15ポイントは同じ推論強度同士で比べた数字かもしれませんが、現時点では検証できません。

独立系の評価機関 Artificial Analysis の総合インテリジェンス指数では、Terra は max 強度で 51(6.1 Sol が 55、Astra が 57、Claude Opus 5.5 が 58)です。別のソースでは 48 と報じられており、こちらも参考値として見るのがよいでしょう。

使い方:API のサンプルとハマりどころ

最もシンプルな呼び出しはこうです。

from openai import OpenAI

client = OpenAI()
resp = client.responses.create(
    model="gpt-6.1-terra",
    reasoning={"effort": "medium"},
    input="以下の議事録をもとに、200字以内のフォローアップメールを書いてください:……",
)
print(resp.output_text)

古いモデルから移行する際に、特につまずきやすいのは次の点です。

1. 推論がオンのときは temperature と top_p を渡せない

推論強度が none 以外なら、temperature、top_p、top_logprobs を外す必要があります。Chat Completions ではさらに logprobs を、Responses では include から message.output_text.logprobs を外します。開発者の検証によると、これらのパラメータを残したままだと、そのまま HTTP 400 が返ってくるそうです。

2. minimal はなくなった

これまで minimal を使っていた場合は low に変更してください。minimal を渡すと、こちらも 400 エラーになります。

3. ツール呼び出しは Responses API 経由が必須

Chat Completions でも通常の会話はできますが、関数呼び出し、Web 検索、コンピューター操作といったツールは Responses API でしか使えません。Chat Completions でツールを呼んでいる既存プロジェクトは、移行が必要です。

4. 会話の途中で推論強度を変えるときは、リクエストパラメータを直接いじらない

公式は configuration_update 入力アイテムで調整することを推奨しています。リクエストレベルの reasoning.effort は変えずにおけば、プロンプトキャッシュが途切れません。

5. キャッシュのパラメータ名が変わった

GPT-5.5 以前のモデルから移行する場合、prompt_cache_retention を prompt_cache_options.ttl に置き換える必要があります。たとえば "30m" のように指定します。

OpenAI の推奨は、medium から始めて、本当に必要な場合だけ上げていくことです。移行前には、代表的な画像とワークフローを使い、同じ推論強度で Terra と既存モデルをそれぞれ動かして比較しておきましょう。

コンピューター操作に使うなら、必ず人の確認を挟む

Terra はコンピューター操作を売りにしていますが、システムカードにはしっかり目を通しておきたいデータがいくつかあります。

  • 重大な問題は 6.1 Sol や Astra より少ない:約4.9万件の Codex シミュレーションタスクのうち、深刻度3以上のフラグは Terra が22件、6.1 Sol が24件、Astra が26件
  • ただし深刻度の低い問題はむしろ多い:不確実性の隠蔽、制約の回避、データの持ち出し、破壊的な操作といったカテゴリのフラグ率は、いずれも 6.1 Sol や Astra より高い
  • 29.6% のテストで、制約条件の本来の意図に反するやり方でタスクを完了している
  • 13.75% のテストで、「仲間の AI」らしき存在からの指示に従って、許可されていない操作を実行している。6.1 Sol ではわずか 1.25%

なので私のアドバイスはシンプルです。Terra にボタンを押させたりフォームを埋めさせたりするのは構いませんが、削除、支払い、送信、提出のような取り消せない操作には、必ず人による確認のステップを入れてください。

Claude Opus 5.5 と比べて何が違うのか

まずはっきりさせておくと、この2つは同じクラスのモデルではありません。Terra は OpenAI で2番目に安い階層、Claude Opus 5.5 は Anthropic の汎用フラッグシップです。同じクラスで比べるなら、Opus 5.5 に相当するのは GPT-6.1 Sol か GPT-6 Astra で、価格帯が Terra に近いのは Claude Sonnet 5.5(入力 2 ドル、出力 10 ドル)です。

とはいえ、実際この2つを比べたい人は多いので、主な違いを並べておきます。

GPT-6.1 Terra Claude Opus 5.5
リリース 2026-10-26 2026-09-22
位置づけ 高速・低価格、画像理解、コンピューター操作、文章作成 汎用フラッグシップ、長時間のプログラミングと知的作業
価格(100万 tokens あたり) 入力 1 ドル、出力 5 ドル 入力 4 ドル、出力 20 ドル
キャッシュヒット 0.05 ドル 0.20 ドル
長いコンテキスト 272K 超でリクエスト全体が割増 1M まで一律料金、割増なし
コンテキスト / 出力 約 1M / 128K 1M / 128K
推論 完全にオフにできる(none) 常にオン、デフォルトは medium
知識のカットオフ 2026年6月 2026年6月
利用できる場所 API、ChatGPT Work、Codex、Copilot API、Claude の各プラン、Claude Code、Bedrock、Vertex など

両社ともスコアを公表しているベンチマークは次のとおりです。

ベンチマーク GPT-6.1 Terra Claude Opus 5.5
Terminal-Bench 4.0 50.3%(max) 66.4%(xhigh)
Terminal-Bench-Science 0.1 58.3%(max) 58.7%
OSWorld 2.1 74.2%(オフラインサブセット) 81.8%(一部タスク)
Agents’ Last Exam 60.0% 63.2%(OpenAI のグラフ内の数値)

この表は慎重に読む必要があります。両者で推論強度もタスクのサブセットも異なり、しかも Terra の数値は書き起こしなので、厳密な比較はできません。さらに、同じ項目なのに両社の公表値が一致しないこともあります。たとえば Opus 5.5 の Terminal-Bench-Science は、Anthropic 自身は 58.7% としていますが、OpenAI のグラフでは 63.3%(「フォールバックあり」と注記)になっています。

ざっくり言える結論は、ターミナル系のプログラミングタスクでは Opus 5.5 が明らかに強く、科学計算とコンピューター操作では大きな差はない。そして価格は Terra がわずか4分の1、ということです。

結局どう選ぶか

シナリオ 選ぶモデル 理由
大量の原稿作成・手直し、資料からの要約作成 Terra 安くて速く、推論もオフにできる
画像理解、図面の比較、スクリーンショットの読み取り Terra 公式が打ち出している得意分野で、価格も安い
目的が明確で、結果を検証できるコンピューター操作 Terra 主要ユースケース。ただし取り消せない操作には人の確認を
複雑なプログラミング、長時間のリファクタリング、多段階のデバッグ Opus 5.5 または GPT-6.1 Sol Terminal-Bench の差が大きく、OpenAI 自身もそう推奨している
非常に長いコンテキストを渡したい(272K 超) Opus 5.5 1M までは割増なし。Terra は 272K を超えるとリクエスト全体が割増
予算は厳しいが、Claude を使いたい Sonnet 5.5 Terra と価格が近い同クラスの競合

この考え方でいくと、コスパがいいのは両者の組み合わせです。プログラミングや大規模プロジェクトは Opus 5.5 に任せる。私がスマホアプリを作ったときもこの使い方で、その過程は同じ Claude Opus 5.5 なのに、なぜアプリまで作れる人がいるのかに書きました。そして大量の文章整理やスクリーンショットの読み取りといった作業は、Terra のような安くて速いモデルに任せる、という形です。

モデルも価格も変化が速いので、本格的に導入する前には、OpenAI と Anthropic の公式ドキュメントで最新情報を確認してください。


参考資料:

あなたもモデル選定をしていたり、GPT-5.6 から GPT-6.1 への移行を検討していたりするなら、ぜひ情報交換しましょう:linktr.ee/weiyii

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